歯周病治療
歯を失う原因として、最も多いのが歯周病。日本人の80%がかかっているともいわれている病気ですが、初期段階では自覚症状がほとんどないため、気が付いたころには症状がだいぶ進んでしまっていることも多々あります。
症状に気づいて歯医者に駆け込んでいったものの、すでに手遅れで抜歯宣告されてしまった、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
当院では、たとえ重度の歯周病で、他医院で抜歯を薦められてしまうようなケースでも、できる限り歯を残す治療を実践しております。
具体的には、光殺菌レーザー治療や歯周組織再生療法などといった最先端の医療技術にを駆使し、一人ひとりの診療時間を十分に確保したうえで根気良く治療を続けていくことで、結果的には他医院で抜歯宣告されてしまった歯の6割以上を残すことができています。
どうしても歯を抜かずに治療したい!という方は、まずは一度、当院までご相談にいらしてください。
歯を抜かずに治療する、4つのポイント
1、精密で的確な診査診断 2、光殺菌レーザー治療 3、歯周組織再生療法 4、定期的なメンテナンス
精密で的確な診査診断
一言で歯周病といっても、その原因はさまざま。多くは、日々のブラッシングなどのメンテナンス不足によるものですが、中には、生活習慣や体質などから、歯周病になりやすい環境にある方もいらっしゃいます。
当院では、適切で効果的な治療ができるよう、また治療後の再発を防ぐために、治療の前にまずはその原因をしっかりと把握し、患者さまに合った治療法をご提案できるよう、さまざまな取り組みを行っております。
歯周病菌DNA検査
歯周病菌DNA検査とは、患者さまのお口の中にいる歯周病菌の種類や数を特定することで、その人に合った歯周病治療や予防法を導き出すための検査です。
一言で歯周病といっても、その原因菌にも10種類以上の菌があり、それぞれの菌によって症状や特徴が異なります。
特に、慢性歯周病に大きくかかわりとされている3菌種:P.g.菌(プロフィロモナス・ジンジバーリス菌)、 T.f.菌(タンネレラ・フォーサイセンシス菌)、 Td.菌(トレポネーマ・デンティコーラ菌)が見つかった場合は治療が難航することが予想されますので、通院感覚を短くし、こまめにケアそしてあげるほか、ご自宅でも専用のメンテナンス用品を使用していただいてしっかりとセルフケアをしていただきます。
効率よく治療をすすめるためにも、まずは歯周病菌DNA検査により、ご自身の症状の原因をしっかりと分析することが大切です。
歯周ポケット診断
歯周ポケット診断とは、歯と歯肉の間にある「歯周ポケット」と呼ばれる溝の深さを測定することで、歯周病の進行状況を診断する方法です。
歯周ポケットの深さの計測と同時に、歯茎の腫れや動揺、出血の状態なども確認しながら総合的にお口の中の状態を把握していきます。
下記は歯周ポケット診断の測定結果と進行状況の目安ですが、同じ歯周ポケットの深さであっても歯周病の原因となっている菌の種類や比率によって治療の難易度や抜歯リスクが異なりますので、まずはしっかりとした診査診断を行う事がとても重要です。
歯周ポケットと歯周病の進行の目安
1~3mm | 歯周炎歯茎だけに炎症が起きている状態です。この段階ではまだ痛みなどの症状はありません。 |
3~4mm | 軽度歯周炎歯茎の炎症に加え、歯を支える顎の骨が溶かされはじめます。 |
4~6mm | 中度歯周炎骨への炎症が進み、歯槽骨(歯を支える骨)が歯の根の長さの約1/3~1/2まで溶けてしまっている状態です。歯茎から膿が出るようになるほか、痛みも感じるようになるので、ご自身でしっかり歯磨きを行うことが難しくなります。 |
6mm以上 | 重度の歯周病が考えられます。歯槽骨(歯を支える骨)が歯の根の長さの1/2以下まで溶けてしまっている状態です。ここまで進行してしまうと完治が難しくなり、また治療期間も1年以上かかってしまう場合がほとんどです。 |
光殺菌レーザー治療(FotoSan:PDT治療)
PDT療法とは光線力学療法と呼ばれる光による殺菌システムで、医科の分野では皮膚科や眼科、癌治療に古くから応用されいてきている方法です
光殺菌レーザー治療(FotoSan)とは、このPDTを歯科の分野で応用した療法で、まったく痛みを伴わずに歯周病菌を破壊する新たな方法として最近特に注目されています。
光殺菌レーザー治療の特徴
薬(抗生物質)を使わないため、耐性菌が発生しない今までの歯周病治療は抗生物質を使用した治療法が中心でしたが、抗生物質はすべての菌に効くわけではなく、また長期間使用することによって対抗菌ができてしまい、治療の効果が得られなくなってしまうという問題点もありました。
しかし、光殺菌レーザー治療の場合は薬を使用しないので抗体ができる心配もなく、繰り返し使用しても高い効果を出すことができます。
光殺菌レーザー治療は、細菌以外の歯周組織などにはダメージを与えない特殊なレーザーを使用しているため、痛みを感じることはありません。
麻酔の必要もなく、かつ短期間で治療が終了しますので、歯科治療が苦手な方でも楽に治療を受けて頂くことが可能です。
お薬を服用する必要がありませんので、副作用の心配もありません。妊娠中の方や小さなお子様であっても安心して治療を受けて頂くことができます。
光殺菌レーザー治療の流れ
1、歯石の除去歯周ポケット内の歯石や汚れをキレイに取り除きます。
最初にしっかりと歯石を取り除くことで光殺菌治療の効果をより高めることができます。
2、バイオジェルの注入
メチレンブルーを主成分とした青色のバイオジェルを歯周ポケットに流し込みます。
バイオジェルは歯周病菌の内部に入り込む性質をもっているため、歯周病菌とジェルがしっかりと結合された状態になります。
3、レーザーを照射
歯周病菌と結合されたバイオジェルにペリオウェイブ(赤色のレーザー光)を照射すると、化学反応によってバイオジェルが活性酸素を発生させます。この活性酸素が細菌やウイルスを死滅させます。
照射時間は一本の歯につき約60秒程度。短期間で殺菌が終了します。
4、洗浄
バイオジェルや、死滅した細菌をキレイに洗い流します。
歯周組織再生療法
歯周病が進行すると、歯を支えている歯根膜や歯槽骨といった歯周組織が破壊されてしまいます。そして、一度破壊された歯周組織は自然と元の状態に戻ることはありません。
しかしながら最近では、医療技術の進歩によりさまざまなテクニックを用いて歯周組織の再生を図ることが可能となりました。
従来は抜歯対象となってしまっていた歯も、これらの技術を用いることで残せる可能性が高まります
エムドゲイン
エムドゲイン法とは歯周病で溶けてしまった骨や歯周組織を再生させる治療です。
エムドゲインはスウェーデンのビオラ社で開発された薬で、「エナメルマトリックスデリバティブ」という豚の歯胚組織からつくられたタンパク質の一種を主成分としています。このタンパク質が、歯が生えてくる時と同じ環境を作りだしてくれますので、初めて歯が生えてきた時と同じような強固な組織を作り出すことが可能です。
失われてしまった歯周組織を回復することはもちろんのこと、歯周病で下がってしまった歯茎も再生することによって審美性を回復させることも可能です。
世界の約40ヶ国以上で使用されている信頼性の高い薬であり、日本でも2002年に厚生労働省の認可を受けいる安全な薬です。
GEM21
GEM21も、エムドゲインと同様、歯周病によって失われた骨を再生させる再生療法です
エムドゲインとの違いは、エムドゲインが動物由来の薬剤なのに対し、GEM21は100%化学合成されたものであるということ、また、GEM21はエムドゲインでは適応外であった大きな骨欠損にも使用できるということが挙げられます。
残念ながら厚生労働省の認可が未認可のため、日本では診療に取り入れている歯科医院はまだ少ないのが現状ですが、米国においては、既存の歯周組織再生薬よりも効果があり安全であるという基礎的研究を踏まえて、多くの歯周組織再生療法に用いられています。
定期的なメンテナンス
歯周病治療が完了して健康な歯茎を取り戻せたとしても、日々のブラッシングやメンテナンスを怠ってしまうとまた歯周病が再発し、治療が必要となってしまいます。
特に、歯周病になりやすい体質の場合や、歯ぎしりや食いしばりによって歯に過度の負担がかかってしまっている方の場合は再発がしやすい状態にありますので注意が必要です。
ご自身の歯周病リスクをしっかりと把握したうえで、リスクに合わせたメンテナンスプログラムを一緒に実行していきましょう。
当院では、特別な訓練を受けた担当衛生士がお一人お一人のお口の状態に合わせたケアを行っております。
一人の患者さまをずっと同じ衛生士が担当することで、お口の中のちょっとした状態の変化を敏感に察知し、効果的なアドバイスや適切な処置ができるよう努めております。