ホワイトエッセンス
御茶ノ水デンタルクリニック

寒さの残る冬の日、院内はいつものように患者さんの診療に追われていました。

午前中の診療が終了して診療チェアから立ち上がり、午後の患者さんのカルテを確認していた私の耳に、スタッフルームから聞こえてくる小さな物音。

何かがおかしいと感じた瞬間でした。

お昼休みに入ったその時、突然ドアが開き、スタッフ全員が満面の笑顔で部屋に入ってきました。

そして彼らの手には、愛らしい熊の形をした誕生日ケーキが。

キャンドルの小さな炎が揺れる中、スタッフたちの「ハッピーバースデー」の歌声が診療室に響き渡りました。

「えっ...？」

言葉を失った私の表情を見て、スタッフたちは更に声を大きくして歌い続けます。

午後の診療のことを考え集中していた頭が、一瞬でオフモードに切り替わりました。

胸の奥から温かいものがじわじわと広がっていくのを感じます。

ケーキをよく見ると、細部まで丁寧に作り込まれた熊の顔がこちらを見つめています。

愛嬌のある表情に思わず微笑みがこぼれました。

「この熊、私に似てるかな？」と冗談を言うと、スタッフ全員が大笑い。緊張感から解き放たれた笑い声が診療室に広がりました。

手渡されたメッセージカードには、「いつもありがとうございます！これからも一緒に頑張りましょう！」という言葉と共に、一人一人の温かいメッセージが書かれていました。普段は口に出さない感謝の言葉が、カードいっぱいに広がっています。

忙しい診療の合間に、こんなにも心のこもったサプライズを用意してくれたスタッフたち。彼らの思いやりと優しさが、この日の私にとって最高の誕生日プレゼントとなりました。

キャンドルの炎を吹き消しながら、私は心の中で誓いました。

これからもこの最高のチームと共に、患者さんの笑顔を増やしていこう、と。

「みんな、本当にありがとう。これからも一緒に頑張りましょう」

白衣のポケットにメッセージカードを大切にしまいながら、午後の診療に向かう私の足取りは、いつになく軽やかでした。