大臼歯のアップライト、アンカースクリューの利点、メリットについて
東京 千代田区 神田、小川町、の歯医者のホワイトエッセンス御茶ノ水デンタルクリニックの院長の太田和秀です。
今日は東京歯科大学同窓会学術セミナーです。
2日間のセミナーのお手伝いが終了したのですが、今回キャンセル待ちも出るほどの人気のセミナーだったので私なりに受講できなかった方へ簡単なまとめをご報告したいと思います。
以下の4つの問題についてMTM、アップライト、エクストルージョンなどについてまとめてみました。
1・歯頚部歯肉の審美性を高めるための補綴を考慮したエクストルージョンとは?
2・補綴設計の幅を広げる大臼歯のアップライトとは?
3・歯列不正を改善し、咬合育成の一助となるレベリングとは?
4・アンカースクリューの植立部位の選定、成功率を向上させるためのツボとコツ?
1・歯頚部歯肉の審美性を高めるための補綴を考慮したエクストルージョンとは?
クラウン(かぶせ物)が歯の根っこの土台部分にのみくっついている場合、かむ力が直接、土台から歯の根っこのみに伝わり、土台の破損、破折、歯の根っこの部分の破折、被せ物が何度も取れてくる原因になります。
長持ちするクラウン(被せ物)を作る為には、歯のまわり、全周が歯ぐきより上に最低1.5mm以上出ていることがとてもとても、とっても大切です。この1.5mmの部分にクラウン(被せ物)がくっついてると、歯の根っこと土台それぞれにかむ力が分散され、歯が割れたり、壊れたり、折れたりすることが少なくなります。このかむ力の分散をフェルール効果と呼び、とっても大切な効果です。
フェルール効果は、かむ力の分散だけでなく、クラウン(被せ物)取れたり、壊れたりすることを防ぎ、虫歯菌の侵入による2次感染を防ぐ為に とても重要な条件ともなります。
これが無い状態ではクラウンはかぶせることはしません。
さて、フェルール効果の重要性はご理解いただけたと思いますが、歯ぐきより上にない歯の根っこをどうやって上に持ってくるのでしょうか?
その解決法として、エクストルージョンという治療法があります。
エクストルージョンとは矯正の中ではMTM(マイナートゥースムーブメント)で、歯ぐきの下に埋まっている根っこを、歯ぐきの上に引っ張り上げる方法です。
エクストルージョンは上下に歯や根っこを動かします。上に引っ張りあげ、歯の根っこを歯ぐきより上に持ってきて、フェルール効果を得るために行います。
手っ取り早く行う場合は歯ぐきの周りを削ってフェルールを確保することも可能ですが、見た目を良くしたい場合はエクストルージョンを行ったほうが歯の長さを調整できるのできれいに仕上がります。
前歯の場合、歯ぐきと歯の周りの骨を削ってしまうと、歯が長くなってしまいます。
前歯で左右で歯の長さが違うと見た目に違和感が出てしまいます。
そのような場合にエクストルージョンを行うと非常に効果的です。
歯の根っこの一番深い部分にはてな?マークを設定することがコツですね。
2・補綴設計の幅を広げる大臼歯のアップライトとは?
大臼歯部でのアップライトを行う上で3つの大切な事があります。
スペース不足
特に7が動いてくるときに対合歯との接触が考えられます。その部分はタービンで削合しなければなりませんので、これはあらかじめ説明しておかないといけません。また、その時に顔面形態がハイアングルか、ローアングルかによっても挺出量にも影響してくるので横顔も観察する癖をつけていくと良いですね。
ワイヤー活性化量の問題
これは、目的とする歯の移動のしやすさですが、骨量や骨質、根の状態そして、顔面形態(ハイアングル、ローアングル)が影響してきます。これを把握しておかないと固定歯が移動してしまいます。
ブラケットポジション
これは非常に大切です。常日頃から切端の位置、歯頚部歯肉ラインもよく観察して適切な位置にブラケットを装着しないと、かなり素直に歯は移動してきます。模型を観察したり、歯の最中を常に意識することが大切ですね。
これらを理解したうえでアップライトを行うわけですが、さらに考えないといけないことがあります。
例えば小臼歯部を固定源にした場合45は圧下の力、7は挺出の力が働くという、作用反作用の法則が働きます。
特に7への矯正力に対して、作用線上に剛体の重心が無い場合は回転力が生じる。
頬舌的に固定歯の歯根中心部に力が集中するので
7の臼歯部の歯冠部が舌側に、
45小臼歯部には頬側に回転するというモーメントが生じる。
このことを理解した上でこのモーメントを防ぐ、何かしらの細工を施さなければなりません。
そのためにはワイヤーを曲げるときに頬側にオフセットしておかないといけない、
あるいは、角線の7にバッカルクラウントルクを入れて、舌側に倒れこまないようにするという事をしておかないと上記のようなトラブルが発生します。
歯の矯正は自分が装着したように素直に動いてきます。
ブラケットポジション、ワイヤーベンディングなどをしっかり学んだ上で行う事で理想的な位置に歯が動いてきますので是非、正しい方法で行ってみてください。
3・歯列不正を改善し、咬合育成の一助となるレベリングとは?
レベリングとは上の前歯や下の前歯がガタガタしている歯の並びや乱ぐい歯と言われるような歯並びを治す治療です。
歯の表面にブラケットを、前歯を含め最低8本-10本くらいにつけます。8-10本に付けた装置にワイヤーを装着し約3-6か月で矯正治療を行います。
前歯だけだと治療の期間が早く済みます。歯を支える骨が薄いこと、歯を移動させるのに厚い骨が歯を支えていると歯を動かすのに時間がかかります。
奥歯は歯を支える骨がしっかりしていて歯を動かすのに時間がかかります。
もう一つの理由として歯を動かすスタイルが斜めに傾けるという傾斜移動ということです。矯正治療の様式として斜めに移動させる傾斜移動。
前歯などの歯を斜めに傾ける傾斜移動をさせて歯の列を綺麗に整える作業は時間を要さないのです。
前歯のみのガタガタで段差がある歯並びの改善や、1部分の部分的な歯の並びを矯正する治療にはMTM、レベリングが適しています。
前歯は奥歯に比べ歯を支えている骨の量が少ないのでMTM矯正治療を行うと短期間で動き、歯並びが揃います。
また矯正装置が前歯のみなどの限定的な場所のみに装着するので、
口内炎や異物感が少なく全体の矯正治療に比べて快適です。
4・アンカースクリューの植立部位の選定、成功率を向上させるためのツボとコツ?
こちらも参考に
https://www.gcdental.co.jp/watching/pdf/149_2.pdf
アンカースクリューを使用した固定の種類としては直接固定(直接けん引)、直接固定(ループ)間接固定があります。
アンカースクリューを固定源とすることで歯を動かすことによる反作用が無くなります。
これにより、上にあげる2番の作用、反作用の問題を解消することが出来ます。
また、埋入位置ですが最後臼歯遠心部にアンカースクリューを埋入しパワーチェーンによる直接けん引のフォースシステムが1番単純です。
7のアップライト時に6が欠損している場合はその部分にアンカースクリューを埋入してスプリングで遠心に押す方法もありです。これも単純で安定したフォースコントロールで行えます。
ただし、いずれの方法も咬合面からみてチェーンのコントロールが難しいです。
間違った位置に力が働いてしまうと、モーメントが働いてしまいます。
頬舌的に歯の中心に力がかかるようにチェーンの位置を調整することが大事です。
基本的には力の方向を理解したうえで行う事が大切です。
以上簡単に今回のセミナーのまとめを記入してみました。
ご参考になれば幸いです。
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